2009年12月31日木曜日

バリチャラへの旅

新聞によると、バリチャラという町は「ボゴタで最も美しい町」であるらしい。それを読んで夫が行きたいと言い出しました。今回の旅行の最初の目的地はそこです。

ボゴタはクンディナマルカという県にあり、その北はボヤカです。さらにその北、サンタンデールにバリチャラはあります。

ボヤカは広いのですが、ボゴタから近い場所は高地にあり、なんとなく寒いです。旅行のときはだいたい早朝出発なので余計に寒く感じます。事実、ボヤカに入るといかにもアンデスという感じの毛布みたいなポンチョを着た人を多く見かけます。

サンタンデールに入って、ある地点を過ぎると急に暑くなりました。休暇気分が盛り上がっていい感じです。街道沿いの町にもプールがあるのが目に入ります。

サンタンデールの首都はブカラマンガという都市ですが、目的地はそこよりも手前にあります。サン・ヒルという少し大きめの市(人口は4万5千人らしい)から少し西にそれたところにバリチャラはありました。

そこはコロニアル時代の街並みがそっくり保存されているという、人口1万2千人の町です。実を言うと、ボゴタからさほど遠くない、ボヤカの中にビジャ・デ・レイバという有名な町があり、そこもそんな感じ。なのでバリチャラがものすっごくすごいかというとそうでもないかもしれません。ただ、ビジャ・デ・レイバがかなり観光地になっているのと比べるとほどよいぬるさを感じます。

白い壁と緑の窓枠でほぼ統一された街並み。ごつごつした石造りの教会。石畳の路面。そんな町の中央広場にクリスマスのためか巨大なピンクのフラミンゴが立ち、どこかすべてを台無しにしている感じが微笑ましい。

標高はだいたい1300mで、ボゴタに比べると暑い場所です。石細工などが名産のようで、そんな工芸品の店がいくつもありました。町の外側には工房も並んでいます。ほかには乳製品も名産のようです。

ここに着いた時点でもう午後3時頃だったので、ホテルの予約をしていない私たちには実際にはあまりそこを見る時間はありませんでした。広場でちょっと休憩して甘い物を食べたりしていたら雨が降ってきたため、すぐホテルを探しに行くことに。

犬連れなので郊外のシンプルなホテルがいいのです。幸い、バリチャラとサン・ヒルの間に何軒かホテルがあり、小ぶりながらきれいなところが見つかって、犬がいても大丈夫といわれたのでそこに決めました。ひと部屋一泊8万ペソで、夫は少し高いんじゃないかと言っていましたが、実際に翌朝支払いをしたときは、ひとり1万2千ペソだったはずの夕食代を含めて10万ペソきっかりだったそうです。朝食は込みでした。

犬たちは暑さもあってくたくただったんですが、夜は涼しくて幸いでした。

翌日は世界第2の峡谷らしい、チカモチャキャニオンが目的地です。

なお、写真は写真のみのページを別に作ろうと思っています。

2009年12月22日火曜日

旅立ちはいつも突然

12月に入ってしばらくしてから休暇に入った夫が、車で旅行に行きたいというので「で、いつ行くの?」と聞いたら「うーん、あさって?」と言ったのが昨日の話です。

なので、明日から3日ほど留守にします。行き先は北の方。帰ってきたらレポートできるかと思います。

2009年12月18日金曜日

ノベナの始まり

クリスマスの9日前からノベナというものが始まります。

うちは夫がカトリックではないのでクリスマス行事的なものはほとんどしないんですが、ノベナというのはクリスマスまでの9日間、集まって歌を歌ったりする行事です。

今夜はうちのお2階さんが集まる場所だったらしく、ご詠歌のようなものが聞こえてきました。タンバリンの合いの手が入ります。

何年か前、日本から来ていた若い女の子が「コロンビアのクリスマスソングって楽しくない」と言っていましたが、たしかに楽しくない。というか、楽しむための歌じゃないんじゃないかな。あるいはコロンビア人はこれで楽しいのか。

ノベナが始まるといよいよクリスマスも秒読みです。

2009年12月17日木曜日

バスの歌うたい

バスに乗っていたら、子供連れの若い女性が乗ってきました。

普通は前のドアから乗って料金を払うんですが、彼女は後ろから乗り、料金を払う様子がない。荷物も持っていないので、物売りではなく物乞いに近い人、というか物乞いだろうと想像しました。

物乞いと言い切っては悪いかもしれないのですが、だいたいこのパターンだと自分の窮状を切々と訴えていくばくかのお金があるとありがたい、というようなことを言うので、やはり事実上の物乞いです。

彼女もやはり窮状を訴えました。どうやらシングルマザーで子供を抱えているのに仕事がないらしい。

どこまで本当かわかりませんが、こういうお金の稼ぎ方を好んでしたい人もいないだろうし、何よりそれほど儲かるとは思えないので、ある程度切羽詰まっていることは事実なのでしょう。

と思って聞いていたら、彼女は歌を歌いはじめました。物乞いではなく、流しの歌うたいだったんですね。

こういう人は普通なんらかの楽器を持っているので、身ひとつというのは珍しい。歌はわりとうまかったです。コインを少し払いました。

『ラテン・アメリカンアイドル』を見ていて複雑な気持ちになるのは、音楽の仕事の底辺にはこういう人がいるのだということを思い出さずにいられないからです。バスの中の彼女の場合、音楽を仕事にしたいとさえ思っていないかもしれない。

その『ラテン・アメリカンアイドル』ですが、結局ドミニカ共和国のマルタが勝ちました。複雑な気持ちになったあとで何ですが、彼女にはスケールの大きさを感じるので先々楽しみです。

2009年12月14日月曜日

ハンドクリームを求めて

晴れて暑いほどの日が多いのですが、これはエル・ニーニョの影響だそうです。とはいってもボゴタなので日の当たらないところは涼しいのですが。

もっと低いところに行くと、影でも空気がなまぬるくて驚きます。

ところで私は血行が悪いせいか手が荒れやすく、日本に住んでいた頃は冬にはいつも手ががさがさでした。これはユースキンAというハンドクリームでないと治らないのです。

こちらは年中秋のような気候なので油断するとすぐ手が荒れます。日本から来る人に買ってきてもらったりしてほそぼそと持っていたユースキンがついに切れてしまいました。

困った……ワセリンとか効くかな。

とりあえず近所の薬局で相談してみることに。

「手のクリームありますか? 薬っぽいのがいいんだけど」と言ったら、実際に私の手を見て店員さんが出してくれたのはどこか飲み薬のような容器。たしかに薬っぽい。バイエルのマークも。

半信半疑だったので小さいのを買い、家に帰ってよく見ると材料は酢酸アルミニウム。なんかこれしか入ってないようなんですけど?

アルミニウムという言葉にややびびり気味。ネットで調べるとブロー氏液というものらしく、日本では薬局などで売っているものではないようです。アレルギーの治療に使われることがあるとか。値段は安くて、60ml 入りで 4500 ペソ(200 円ちょい)。

「よく振って塗れ」と書いてあったのでそうしてみました。色は白く、匂いは木工用ボンドに似ています。

驚くなかれ、これを1日2回ほど塗っていたら3日ほどで症状が改善しました。がさがさが治ったのでその後は1日1回しか使っていません。

これで日本の人に買ってきてもらわなくてすみます。助かった。安いし。

商品名は Acid-Mantle N。カレフールなんかでも売ってます。しかし値段は近所の薬局の方が安かったです。

2009年12月12日土曜日

日本料理を作ろうかと考えてみた

昨日、近所に住む夫の親戚からお手製のエンパナーダをもらいました。数日前から「木曜にエンパナーダを作ってお裾分けしてくれるらしいよ」と聞いていたので、何か大がかりな行事なのかと思ったんですがそういうわけでもないらしい。クリスマスが近くなるとエンパナーダを食べるとかいうこともありません。

夫が帰ってきた頃にはけっこう冷めていましたが、それでも手作りなのでおいしかったです。

いつもいろいろな物をもらうので、何か日本っぽい料理でも作って分けてみようかと思わないでもありません。私は今までにそういうことをしたことがないのです。なぜかというと、主に料理が嫌いだからなんですが。

何か日本の行事にちなんだ食べ物で、簡単にできそうなものってないかなーと考えたのですが、材料が手に入るとか入らないとかいう以前に問題が。

コロンビアの人はあんこが嫌いなのです。もちろんそれを食べたことがある人はほとんどいないわけですが、とにかく豆が甘いのはダメなようです。トウモロコシが甘いとか(アレパ)、米が甘いとか(アルロース・コン・レチェ)いうのは許せるのに、なぜか豆は許せないらしい。

夫は一時、日本にいたことがあるんですが、一度スーパーで「あ、フリホーレスだ」と思ってあんこの缶詰を買ってしまい、すごく衝撃を受けたそうです。

小ぶりのフリホーレスを使えばぜんざいなんかは比較的簡単にできそうなんですけど。じゃあ、日本の伝統料理を作る案はボツってことで。

2009年12月10日木曜日

クリスマスシーズン到来

昨日の火曜日は祝日でした。聖母受胎の日です。コロンビアの祝日はたいてい月曜に移動するので、これは数少ない固定祝日です。ほかには独立記念日とクリスマスが固定です。

その前夜はろうそくの日(正式名称がわかりません)。家の前などにろうそくを立てて火をつけます。

私たちが住んでいるアパートの共有地でも小道沿いにいくつもろうそくが立てられ、幻想的な光景になっていました。

これが過ぎると本格的にクリスマスシーズン。個人の家のイルミネーションも出揃います。

コロンビア(ボゴタ)のクリスマスの料理はブニュエロ(丸いドーナツのようなもの。甘くない)とナティージャです。

ナティージャはどうも、例によってコーンスターチで作るらしい。食感はういろうに似ています。これは甘いです。

肉屋の店先には「ブニュエロの生地あります」という貼り紙がされていました。

2009年12月1日火曜日

コロンビアの市場

夫が数日、職場の旅行に行っていたのですが、こんなおみやげを買ってきました。


コロンビアにはこんな感じのおみやげが多いです。伝統的な家の模型(前面のみで壁に掛ける)とか、たくさんの人や荷物を載せた「チバ」というバスの模型とか。

好きなんですが、家などは壊れやすいのが難。一度、帰省するときに持っていったら屋根の部分が少し欠けてしまいました。あと、ちゃんと飾るなら家の中を(模型の方でなく)もう少しきれいにしないと……。

写真のものは、高さが13センチくらいです。小さいものは何なのかよくわからなかったりしますが、前面のまんなかにあるのはチリモジャでしょう。隣がニンジンとアボカド。アボカドよりニンジンが大きかったりして、スケールわりと適当。

台の上の赤いのはピーマン。こっちのピーマンはほんとにこんなのです。台の右端にあるのはパパイヤ。奥にある緑のものは何なのかわかりません。ぶら下がっているものもやや不明。オレンジ色はグラナディージャにも見えますが、普通は吊して売るものじゃないし。

これでだいたい15,000ペソ。ボゴタで、日給で働く労働者はだいたい1日25,000ペソくらいなので、それよりずっと安い仕事になってしまいます。もっとも、ひとりで全部作るんじゃなくて、部品を作る人とか組み立てる人がいるんじゃないかと想像しますが。また、ボゴタの民芸品店で買うともう少し高いかも。

2009年11月29日日曜日

スペイン語の字幕

『海がきこえる』というアニメがテレビで放送されていたので見てみました。日本語が懐かしいので、字幕放送の日本映画が放送されていればなるべく見てみます(ちょっとお金を払ってNHKが入るようにすればいつでも日本語の放送が見られます。でもそうするときっとたいして見ないという気がする)。

内容は……まあ、ひょっとすると原作を読めばおもしろいのかなという感じでした。アニメだからアニメファンの子たちが見ていたらちょっとがっかりしたんじゃないかな。

しかしこれ、台詞のほとんどが高知弁なんですが(土佐弁と言うべきなのかしら。どっちみち、棒読みっぽい印象は免れませんが)、字幕が意外と間違っていなくて感心しました。スクリプトの標準語訳みたいなものがあるのか、あるいは英語字幕からスペイン語にしたのか。

興味深いと思ったのは、この登場人物はほとんど高校生で、互いを名字で呼ぶのですが、それがきっちりファーストネームで字幕化されていたことです。たしかに西欧圏では友達を名字で呼ぶことってあまりないですからね。しかし、日本の名前なんて、どっちが名字でどっちが名前か、どうせこちらの人にはわからないと思う……。多少日本語がわかる人が見ていたとしたら、音と字幕が違うのでかえって混乱するのでは。字幕を付けた人にこだわりがあったんでしょうか。

字幕といえば、『The Tudors』というイギリスのドラマを見ていますが(日本でも最近放送が始まったよう)、これの字幕が前から読みにくいと思っていたところ、その理由のひとつがわかりました。

これはヘンリー8世を主人公とした時代ドラマなので台詞が長くて難しいことがよくあるんですが、字幕が一画面に収まりきらないほどの文の場合、なぜか後半から訳して字幕になっていることがあるのです。日本語でも、英語の文章をうしろから訳すことがあったりしますが、あの感じ。そのため、話されている内容と字幕の内容がちょっと違うのです。

英語は日本語と違ってわかる人も多いと思うので、私のように耳で聞きながら字幕で補完する人も多いはず。聞こえる台詞と字幕はある程度揃えておいてほしいです。

2009年11月28日土曜日

クリスマスはアンチェタの季節

以前もどこかで書いたような気がするのですが、「アンチェタあります」という貼り紙を見かけるとクリスマスが近いことを実感します。

アンチェタとは、さまざまな物を詰め合わせてプレゼントっぽく包装したもの。日本の果物かごのような、バスケットに入っていることが多いです。

内容は店によって違い、近所の小型スーパーならそれこそ本当にふだん使いの、ケチャップとかパスタとか缶詰とかが詰め合わされています。バスケットがセロファンみたいなもので覆われているだけなので、中身はすぐにわかります。

高級スーパーに行くと高級ワインとチーズ、ハムの詰め合わせなんかもあります。

これは見た目の通り、クリスマスの贈り物に使われるものです。日本のお歳暮にも似ていますが、最も違うのは、ふつう、目上の人から贈られるという点でしょう。会社から社員に贈られるケースもあるようです。

うちではほとんどもらったこともあげたこともありませんが、毎年クリスマスになると店にたくさん並んでいるので、多くの人がやり取りしているものと思われます。比較的裕福な人から比較的貧しい人へ、クリスマスくらいはせめて食べ物の心配なく過ごせるように、というような慣習でしょうか。これを見るといつも、「若草物語」のクリスマスの朝、姉妹たちが近所の家に朝食を持っていく場面を思い出すのです。

2009年11月27日金曜日

ネギと生姜

意外かもしれませんが、長ネギは普通の食材としてよく使われています。しかしうちではあまり使いません。薬味を使うような料理をあまりしないし……。

コロンビアでは、ごはんを炊くときに入れたり(人による。玉ネギを使う人もいます)、焼いた牛レバーなんかの、それこそ薬味の一部に使われたりします。この薬味には伝統的なコリアンダーなんかも入っています。

先日、久しぶりにネギを買うことがあったんですが、余ったのでその後、朝食の卵に入れてオムレツみたいにすることに。

ネギを焼く匂いは懐かしいですね。こちらには玉ネギとトマトを入れたオムレツのような料理もあり、これは「ペリコ」と呼ばれます。レストランなどで出す朝食にはよく「お好みの卵(huevos al gusto)」というメニューがありますが、その中にも入っています。玉ネギとトマトを炒める匂いもまた、食欲をそそりますね。

最近はうちの近所の小さい店でもときどき、生姜を見かけるようになりました。みなさん、どうやって使われているんでしょうか。

安いのでときどき発作的に買ってみるんですが、なかなか使わなくて腐らせてしまうことがあり、あんまり買いません。豚肉を焼くときに使えばいいんですけど。あと、アグア・デ・パネラという、黒糖を溶かしたような飲み物におろし生姜を入れるとしょうが湯みたいでおいしいです。

ただ、おろし金はまず手に入らないので、日本などで買ってくる必要があります。

2009年11月19日木曜日

6個のパン

昨夜は、雨はさほど強くなかったんですが雷が頻繁に鳴り、インターネットが不安定になって使いものになりませんでした。よくあることです。

夕方、いつものパン屋に行って、今回は「5個と5個」ではなく「6個と6個」買いました。そうしたら、"Seis y seis". と言ったのに、おじさんは "¿Cinco y cinco?" と聞き直しました。

それを言い直したら納得してくれたんですが、今度は合計金額を出すのにやや苦労されている様子。女性店員の助けでやっと金額が出ました。

彼の頭の中では「5個のパン=1000 ペソ」というまとまりができていて、他の数字が出ると難しくなってしまうのでしょう。悪いことしちゃったかな。

でも意地悪でそうしたのではないんです。うちはだいたい朝食にこのパンを3個食べるんですが、インテグラル(全粒パン)を食べるのは私だけなので、5個単位で買うと半端になってしまうんですよ。ずっと前からそう思ってはいたのです。パン屋のおじさんには、これも試練と思って耐えていただきたいと思います。

2009年11月16日月曜日

日曜日の植物園

また行ってみたんですが、花はまだ開いていませんでした。たぶん、もう行かないと思います。さすがにずっと付き合ってはいられません。

温室は今はソーラーパワーであたたかくされているようなのですが、それでも雨が降ると気温が下がるし、日照時間も減るしで、アマゾンとはさまざまな条件が違うので開花の予測も難しいのでしょう。この植物園に植えられてから 35 年の間に3回しか開花していないという話もそれを裏付けています。1回目は 75 年、2回目は 95 年だったそうです。

今日は日曜なのでさすがに混んでいました。しかしほとんどの人の目当ては蝶の展示です。そのため子供連れが多かったです。

私たちが着いたのは昼すぎでしたが(昨日は 10 時頃が見頃と書いていますが、その時間ちょうどに行ったりしないのがコロンビア)、ちょうどそのとき強い雨が降り出しました。切符売り場に並んでいると、若い男性職員が「今日は蝶の展示はもうありません」と言っていました。雨で気温が下がったりして蝶が活動しなくなり、あまり見るべきものがなくなるからということでした。あと、午前中に相当多くの入場者があったようです。展示打ち切りを切符売り場の前で告げるのは良心的だと思いました。

これで、ほとんどの人は列を離れてしまいました。

しかし温室に行くと、それ以前に入場した人がまだ列を作っていました。蝶の展示は温室の一角にあるのです。

雨を避けるために列を屋根の下に入れようとする職員のひとりに、私たちは蝶を見に来たのではなく、ビクトリアだけ見たいんだと言うと、横の入口から入れてくれました。しかしそこでも順路に従って人はかなり並んでいて、私たちもゆっくり進むことになりました。

雨を避けられたのは助かりましたが、ところどころ雨漏りしています。雪が降るような場所ではないので、建物の密閉性が甘いのです。

ビクトリアの池は順路の最後にあります。そこでは昨日の園長が話をしていて、例の「プロフェ」の顔も見えました。

つぼみは昨日より少しふくらんで見えましたが、やはり閉じています。このあたりから、単に雨宿りをしている人が増えてきました。そういう人は動かないので、その人たちの間を縫って外に出、さっさと帰ってきました。

蝶の展示も興味深いし、別料金とはいえやはり 2000 ペソなので安いんですが、これは2年ほど前に見ています。この前、近郊コタの自然公園みたいな場所でも見たし、こんな人混みに混じって見るほどでは。

でも植物園自体はゆったりしてなごむ空間です。アヒルなんかも放し飼いになっていて、そこらを歩いています。うちからはそれほど遠くないので、またときどき来るでしょう。

2009年11月15日日曜日

再びビクトリア

土曜日に開くというオオオニバスをまた見に行きました。私が「日没後に咲くらしい」と言ったことと、どっちみち夫は仕事か何かで昼間はいないので、午後5時頃に植物園の入口前で待ち合わせ。

バスを降りたら夫は既に来ていて、「温室は5時に閉まるようだよ」と言いました。夜に見物客がたくさん来ると言っていたこの前の係のおじさんの話は嘘だったのか、私が適当に聞いていたのか。

植物園が何時に閉まるのかよくわかりませんが、切符売り場はもう閉まっていて、タダで入ることができました(普通の料金は大人 2000 ペソ、子供 2000 ペソ)。とりあえず温室まで行ってみることにして、急いで歩きます。

温室の前まで来たらやっぱり閉まっていました。「閉まってるねー」などと言っていたら、横の入口から入っていこうとした職員を夫が目ざとく見つけて呼び止めました。

「ビクトリアが日没後に咲くという話を聞いたんですけど」と夫が言うと、「いやいやそんなことはない」と言う職員。しかも、花自体はまだ咲いていないらしい。「明日咲きますよ」ということでした。彼はただの職員ではなく、園長でした。それほど年輩ではありません。

日没後に咲くという情報は私がネットで検索していて見つけた NHK のサイトに書いてあったんですが、まるっきり嘘ということもないと思うので、自然の状態とここでは違うんでしょう。

園長氏の話によると、自然の状態ならオオオニバスの花は3カ月に1度咲き、3日間開いているそうです。その説明の途中で、外での立ち話がイヤになったのか、彼は私たちを中に入れてくれました。

入ってみるとまだ何人か一般客らしい人がいました。5時を過ぎたばかりだったからでしょう。

「ここのビクトリアは35年前にアマゾンから持ってきたものなんですよ」と言いながら、園長氏は奥から歩いてきた年輩男性に挨拶しました。そして私たちに「彼が35年前に持ってきた人です」

嘘のようなタイミングです。その人はそれ以来ずっと、ここのオオオニバスの世話をしているそうです。世話係というよりも顧問のような感じでしょうか。園長氏はその人を「プロフェ」と呼んでいたので、学者なのではないかと思います(プロフェはプロフェッソールの略。一般に先生のことをこう呼びます)。


中に入ると、たしかに花はまだ開いていませんでした。写真の中央付近に白い縦線のようなものが見えるでしょうか。これが開きかけているつぼみです。照明があるのは、モニターしているカメラのためのようです。

中で、先ほどのプロフェの話を聞くことができました。葉に子供が載っている写真で有名になったが、実際にはそれほど重いものを支えられるわけではなく、細心の注意を払わないと水に落ちてしまうこと、先住民はいくつもの葉で身体を支えるように四つんばいになってこれの実を採り、食用にすることなどを話してくださいました。

日曜は、朝10時頃が見頃らしいのでまた行くかもしれません。しかし今度こそ混んでいる予感。

2009年11月12日木曜日

ビクトリアを見に行く

「つい最近までオオニバスだと思っていました」という文をネットで読むまで、オオニバスだと思っていました。大鬼蓮だったんですね。

このオオオニバスの花がボゴタの植物園で14年ぶりに開いたそうです。夫が見に行けと言うので行ってみました。スペイン語ではビクトリア・アマソニカと言います。学名のままのようです。

結果から言うと、もう花は閉じていたんですが。そもそも日没直後に咲くものらしいですよ。温室の前にテレビクルーがいたので咲いてるのかなーと思ったんですが。しかし池のそばにいたおじさんに、もうひとつのつぼみが土曜日くらいに開くかもという耳寄り情報を教えてもらいました。

目玉のオオオニバスの花は見られませんでしたが、平日午後の植物園は人も少なく散歩に最適です。温室の中は何かの花の匂いなのか、甘い香りが充満していました。

ただ、コロンビアは緯度の高い国のようにはっきりとした季節がないので、何かの花がいっせいに満開になることはありません。ランのコーナーを見てみましたが、やっぱりぽつぽつとしか咲いていませんでした。

母にメールで送ろうかと何枚か写真を撮っていたら、そこで作業をしていた若い女性が「それはボゴタ市の花なんですよ」と突然話しかけてきました。「その小さい、茶色いの」

私がほとんど目に入らない様子で(実際目に入ってなかった)通り過ぎたので、「ボゴタの花をアピールしなくては!」と思われたのかも。せっかく教えてもらったのでそれも撮っておきました。

帰ってから調べてみたら、そもそもボゴタ市の花が制定されたのは2003年のことのようです。花はオドントグロッスム・ルテオプルプレウム(Odontoglossum luteopurpureum)。彼女は茶色を cafecita と表現しました。茶色をカフェというのはコロンビアでは普通のことですが、コーヒー色だからボゴタの花に選ばれたんでしょうか。

2009年11月10日火曜日

何年かに一度のアレパ

アレパとは、トウモロコシの粉を水で溶き、練って焼いたものです。たったそれだけなんですが、コロンビア国内だけでも地方によってさまざまな種類があるようです。

ボゴタで普通、食事に出てくるのは白いアレパ。白いのは、元のトウモロコシがそういう種類だからです。薄い塩味が付いている程度で、味はありません。鶏の丸焼きなんかに付いてくる出来合いのものは正直あまりおいしくないんですが、自分で粉を買ってきて焼いた、焼きたてはおいしいです。焼いた匂いは少しお餅に似ています。

もうひとつポピュラーなのはアレパ・デ・チョクロというもので、スイートコーンのようなトウモロコシが材料となっているため、甘味があります。バターなども入れるのか、パンケーキのように液体状のものを鉄板に伸ばして焼きます。

ボゴタから少し郊外に出ると、アレパ・ボヤセンセというのが主流になります。ボヤカ(県名)のアレパという意味で、形や大きさは今川焼きに似てるかも。色もそんな感じです。こちらも甘味のある種類です。

だいたいどれも主食として食べられるもので、けっこうお腹にたまります。昼食が多かったり、遅かったりした日の夕食はこれだけでもいいほど。場合によってはチーズを挟んで作られていて、それはさらにお腹がいっぱいになります。

先々月くらいだったか、近所の店の前に見慣れないアレパ売りの人がいました。バイクの後部座席に炉のようなものを載せて、そこでアレパを焼いているのです。すごくおいしそうな匂いだったので買ってみました。1つ 1200 ペソ。チーズが挟まっていました。

焼きたてで本当においしかったです。夫などは感動して「これは何年かに一度しか出会えないようなアレパだ」と力説してました。

しかしその人を見たのは一度だけ。ひとつの場所で商売をするのではなく、ボゴタ市内を転々としているのでしょうか。本当に何年かに一度しか出会えないアレパだったようです。

2009年11月9日月曜日

ラテンアメリカンアイドルとテレノベラ

今週というか先週のラテンアメリカンアイドルはテレノベラの主題歌が課題でした。これはまた、えらくラテンアメリカ的な課題です。

テレノベラとはラテンアメリカで放送されている連続ドラマのこと。一般には恋愛を主体としたドラマのことをこう呼び、それ以外のものは「セリエ」と呼ばれるような気がします。コロンビアではよく「ノベラ」と呼ばれますが、そういった略称のようなものは国によって違うようです。

毎日放送され、非常に長く続くのが特徴。先月頃だったか、コロンビアでは、とある人気テレノベラが実に 17 年の放送を終えるということが昼のニュースで伝えられていました。もちろんそのニュースと同じチャンネルのドラマだからこそのニュースですが、わざわざそんなことを……。

人気の出たドラマは国民的ドラマとなり、他国に輸出され、主題歌もヒット曲となります。私はまともにテレノベラを見たことがないんですが、主題歌のいくつかは知っていますし、テレノベラの主題歌と知らずに知っている曲もけっこうあるんじゃないかと思います。

そんなテレノベラの主題歌なのでやはりラブソング。審査員が "¡Emoción!"(感情)とか "¡Pasión!"(情熱)とかが必要と力を込めるのもラテン的。

ところでパラグアイのタニアは先々週くらいに落ちてしまい、先週、つまりこの回はメキシコのロランドが姿を消しました。

男の子の中で応援しているのはチリのルーベンですが、実はこの番組、4年目になるのに南半球から優勝者が出たことがありません。今残っている6人のうち、南半球といえるのはこのルーベンとエクアドルのフェルナンド、ペルーのレイディのみ。エクアドルはちょっとぎりぎりでしょうか。ルーベン、初の南半球優勝者となるか(これまではベネズエラ、グアテマラ、パナマ)。

2009年11月8日日曜日

ラテングラミー

ラテングラミーは、再放送で無事に頭から見ることができました。

ラテングラミーとはその名の通り、グラミー賞のラテンアメリカバージョンです。本家グラミーとの関係はよくわかりません。グラミー賞の中にもラテン部門はありますし。

ラテンポップスを対象とした賞、アウォードはいくつかありますが、私にはこれがいちばん見やすいです。ビルボードとかは在米ラテンアメリカ人のあいだではやった曲が主体で、コロンビアで聞くものとは違うし、MTV だと半分くらいは英語圏の曲になってしまいますし。アメリカのヒット曲ってよく知らないんですよね……。

今年はラテングラミーができて 10 年目、第 10 回ということでひときわ派手だったようで、会場はラスベガスでした。だいたい毎年見ているわりによくわからないんですが、会場の場所は毎年違うようです。また、シルク・ド・ソレイユとコラボレーションしていたようです。たぶん。そう言ってた気がする。

生中継のときに見逃したオープニングアクトはイタリア人のラウラ・パウシーニでした。

賞番組ではありますが、賞の行方とかはそれほど興味深いものではありません。だいたいパフォーマンスする人が賞をもらっていくし。楽しみはパフォーマンスにあります。

今年はミーハー的にはメキシコの男の子グループ、REIK と、アレハンドロ・サンスがよかったです。サンスはアリシア・キースとのデュエット曲がはやっているので、彼女も出演していました。豪華っぽい。アリシア・キースって名前くらいしか知りませんが。

客観的にはレゲトンの Calle 13(カジェ・トレセ)とルーベン・ブラデスの共演が見応えありました。和太鼓の人たちがいたんですが、彼らが何者なのか、あるいはシルク・ド・ソレイユの一部なのかわかりません。シルク・ド・ソレイユもテレビでちらっと見たことがあるだけでよく知らないんです。

ラテンアメリカの音楽イベントを見ると、国は違うけれども同じ言葉を話し、同じ言葉で理解できる、この大陸の人々のパワー、さらに音楽というものが持つパワーのすごさを感じます。

2009年11月7日土曜日

鳩の昼食

よく行く八百屋は個人商店にしては少し大きく、間口だけでも小さい店の倍はあります。その表にエンドウマメの売場があるのですが、道路に近いせいか、たまに鳩が入り込んで豆をつついています。つついているというか、今日見たら堂々と豆を丸飲みしてました。レジと豆売場がちょうど端と端にあるので店の人は気がつかないのかも。

私が買い物を済ませてレジに並んでいると、店主の知り合いらしい男性が「鳩が豆食ってんぞー」みたいなことを言いました。

すると三十代なかばくらいのその店主、顔色も変えずに

"Las palomitas estan almorzando".(鳩は昼飯食ってんだ)

知ってたのね……。

昼下がりで気がゆるんでいたのか、彼は千ペソも余分にお釣りをくれたので返しました。

2009年11月6日金曜日

トイレにおけるチップの悩み

今日はラテングラミーです。番組表では9時からとなっていたのにどうも8時からだったようで、オープニングを見逃しました。明日再放送があるようなので見なくては。

ところでトイレの話です。

今日、近所の大型ディスカウントショップに行き、店の外側にあるトイレに入ろうとしたら入口に女性が座っていました。今でもこうやってお金を払ってトイレを使うところはときどきあります。

しかし値段が書かれていない。いくらかと聞いたら「気持ちでお願いします」みたいなことを言われました。

ええ~。そんなこと言われたら困りますよね。とりあえず、最近払うなら 500 ペソのところが多いように思ったので 500 ペソ硬貨を払いました。

そのまま入ったら紙がありません。販売機があるのかなー、とうろうろしていたら、それを察知したらしくさっきのお姉ちゃんが「紙ー?」と聞いてきました。なんか実際そういう口調だったんです。悪気はないんだけどおおざっぱみたいな。

「はぁ」と言ったら(もちろん Si と言ったんですが)ちゃんと畳んだ紙をくれました。そういえばよく考えると、お金を払うトイレでは払ったときに紙をくれるのが普通なんですが。

ショッピングセンターなんかのトイレはすんなり入れて無料で紙も付いているところが多いですが、場所によってはこうやって人がいたり、鍵がかかっているので近くの店の人に鍵を借りたりしなければならないことがあります。防犯上はその方がいいのかも。夜とか、ひとけのないショッピングセンターのトイレは少し怖いですから。

でもお金を払うなら値段は決めておいてほしいです。

2009年11月5日木曜日

今日こそフルーツサラダ、ココ抜き

近所のフルーツサラダ屋はどうも閉めてしまったようです。そこそこはやっていたように思うのですが、個人経営の店は頻繁に開店したり閉店したり、移動したり商売替えしたりするので油断できません。貼り紙などがなかったので移動ではないと思うんですが。

今日はやっぱりフルーツサラダが食べたいなーと思ったので、もう1軒の方に行きました。ここはバス通りに面しているせいか商売が順調のようで、私たちがここに住み始めたときは本当に小さい、間口一間みたいな店だったのに、今はすごく大きい店ではないもののその2倍から3倍はあります。

大きな液晶テレビ(プラズマかも。どうやって見分けるんでしょうか)も壁に掛かっているし、何より映りがいいのが個人商店のテレビとしては珍しい。衛星を入れてるんでしょうか。

それでいて、ふだん行くと店員さんはひとりしかいません。従業員なのか店主なのかはわかりませんが、やや年輩の女性ひとり。アイスクリームも売っている店で、アイスクリームは早いですがフルーツサラダは少し時間がかかるため、わりと待たされることがあります。テレビはそのための投資なのでしょう。

コロンビアのフルーツサラダはいろいろな果物を細かく切って盛り、そこにチーズやココの千切り、生クリーム、アイスクリームなんかを載せたものです。店によってはゼリーなんかも。

この前もちょっと書いた通り、この店はココを入れるんですが、今日は意を決してココなしでお願いしました。それで値段が下がったりはしませんが、けっこうな食べでがあります。十分なお昼ごはん。

今日のレートだと 207 円くらいです。店によって分量は違い、半分くらいの量を頼めるところもありますし、スーパーだとよく量り売りをしています。

コロンビアの人に「フルーツサラダが好き」と言うとなぜかよく笑われます。これっておやつみたいなものだから、「コロンビアの食べ物で何が好き?」という質問にこれで答えると滑稽に思われるのかも。200 円ちょっとでお腹いっぱいの果物を食べられるのがどれほどの贅沢か、コロンビアの人にはわからないのでしょう。

2009年11月4日水曜日

バラを買った少年のその後

犬を2頭飼っているのですが、1頭は元野良で気が荒いです。今日の散歩も嫌いな犬を見かけて大荒れ。気が立っているときは通行人に吠えたり、人の持っているものの匂いを嗅ぎに行ったり、落ち着いて歩いてくれません。

若い女の子が持っているものに寄っていこうとしたので急いで引き留めました。食べ物とか盗んだら困る。

でも彼女は気がつかなかったようです。暗くなりかけていたので最初はわからなかったんですが、彼女が持っていたのは食べ物ではなく、一輪の花でした。

何年か前に別のブログで、バラを買いに来た少年のことを書いたことがあります。

少年といっても年の頃は二十歳前後。うちの呼び鈴を鳴らして、「お宅の庭のバラを売ってくれませんか」と言ったのです。4年くらい前だったでしょうか。

驚いたのですが、売り物にできるような花ではなかったので庭のバラを一輪切って、そのままあげました。男の子がこの近所の子なのかどうかはわかりません。同じアパートの住人ではないような気がします。顔をよく覚えていないんですが、アパートの住人ならもう少し記憶に残っているはず。覚えているのは、なんてことはない普通の服装で、くたびれたバックパックを持っていたことだけです。

その話をしたら、そのとき夫はこう言いました。「彼は恋をしているんだよ」

花を持っていた女の子には連れがいました。後ろ姿しか見ていませんが、背の高い男性で、くたびれたバックパックを背負っていました。

それがあのときの男の子なのかどうかはわかりません。でも女の子が持っていたのはたぶんバラだったと思います。花屋で買った感じではない、手に持てるくらいに短く切った、包みもない一輪のバラです。

彼の恋は実ったのでしょうか。

2009年11月3日火曜日

気になるエンパナーダの中身は

今日、2日の月曜は「諸聖人の日」で祝日です。

三連休のためか、昨日の日曜に夫のおばさんから招待を受けたので出かけてきました。夫の両親は既に亡く、うちからわりと近くに住んでいるこのおばさんの家にはよくおじゃまします。

別にあらたまった集まりなどではなく、ぼーっと行ったら、エンパナーダが作られている最中でした。エンパナーダって家でも作れるんだ……。そりゃ、餃子だって家で作れるんですからエンパナーダも作れるでしょうが。

見せてもらったところ、この前書いた「エンパナーダの皮は小麦粉」というのは嘘でした。国によっては小麦粉なんだと思いますが、少なくともここで使われていたのはトウモロコシの粉です。アレパの材料と同じものではないかと思います。アレパについてはまたいずれ。

これまで漠然と「エンパナーダの皮っていうのが売ってるのかなー。それにしてもは見たことないなー」などと思っていたんですが、自家製エンパナーダはこの粉で皮から作るらしい。複雑な作業ではないようです。

この粉に水、バター、少量の塩と砂糖なんかを混ぜてこね、粘土のかたまりみたいになったのを少しずつ取ってのばし、具を詰めて皮を閉じ、油で揚げる。これだけです。

時間がかかるのは具を作る作業でしょう。具はあらかじめ調理しておくものだからです。

しかしなにげなく見ていたときに詰められていた具は、チーズとボカディジョでした。なんとコロンビアらしい取り合わせ。でも店でこんなエンパナーダを売っているのは見たことありません。

コロンビアでいうボカディジョとは、グァバの実をつぶして固めたような(どうやって作るのか知りませんが)、見た目ようかんに似たお菓子です。ほかに小型のバナナのこともボカディジョと言いますが、ここではグァバの方です。

それとチーズ。チーズはモツァレラでした。

コロンビアでは、甘いものとチーズの取り合わせは珍しいものではありません。朝食に飲むホットチョコレートにもチーズを入れるし、アグア・デ・パネラという黒砂糖を溶かした飲みものにもチーズを入れます。味のないカンペシーノというチーズにジャムのような、果物の砂糖煮みたいなものをかけたのは伝統的なおやつです。

プラタノという調理用バナナにボカディジョとチーズを挟んで焼くという、日本人にはけっこうカルチャーショックな料理も普通に存在するので、このエンパナーダもしごく普通です。

私はボカディジョはそれほど好きではないんですが、このエンパナーダは揚げたてだったこともあっておいしくいただきました。ほかに普通の、鶏肉のエンパナーダもありました。揚げたてのエンパナーダは本当においしいです。今日はちょっと胸焼けします。

2009年11月1日日曜日

千個のパンを買えと言うのか

今夜がハロウィーンなんですね。コロンビアでは「魔女の夜」とも言います。たまたま夕方遅くに出かけたら、仮装の子供をけっこう見ました。ペットショップやカルフールの店員も仮装していたり。目的がよくわからない。

ところで、日本人は計算が得意だと言う人がよくいるような気がしますが、計算というのは慣れなので、ある数え方に慣れているとほかの数え方がよくわからない。自分の数え方の方が優れていると思いたい人が「日本人は計算が得意」みたいに言うんじゃないかという気がしてなりません。

そんな小理屈はどうでもいいんですが、コロンビアの店の人の計算法も日本人の(というか私の)常識とは少し違っていることがあります。こっちはスペイン語を聞きとるだけでいっぱいいっぱいなので、予想と違うことを言われると虚を突かれて何言われたんだかわからなくなってしまったり。

今でもよく引っかかるのが(という言い方はよくないですが。向こうには騙そうという意図はないのです)、例えば 1700 ペソの買い物をして 2000 ペソ札を出したら、「200 ペソ持ってませんか?」と言われたりする場合。論理の飛躍についていけません。つまり相手が言いたいのは、300 ペソの細かいお釣りがなくて 500 ペソ硬貨ならあるので 2200 ペソ払ってほしいということなんです。

「お釣りを大きくするために半端な小銭を払うのは日本人だけ」とよく言われますが、それは正しくなく、コロンビアでは日常的に行われていることです。ただ、最初に小銭込みでお金を渡すのではなく、お札などを出したあとで「100 ペソありますよ」などと言って相手に心の準備をしてもらう必要があるみたいです。小銭はいらないと言われることもあります。

で、パン屋。いつも行く近所のパン屋ですが、ここで私がふだん買うバターロールみたいなパンは1個 200 ペソ。5個だと 1000 ペソです。私はたいてい、バターロール 10 個か、インテグラルという全粒パン(同じ形、同じ値段)5個とバターロール5個という買い方をします。

私が「これを5個とこれを5個」と言うと、そこのおじさんはいつも必ず、「1000 と 1000 ね」と言い直すのです。このとき「ペソ」というお金の単位は省略されています。スペイン語で書くなら、私が "Cinco y cinco". と言うと、彼は "Mil y mil". と言うのです。正しいんだけど気になる。もしも私が "Mil y mil". と言ったらちゃんと通じるのか、あるいは客が言ってしまった場合はパンが 1000 個と解釈されないか、つまらないことを考えてしまいます。もちろん店にはパンは 1000 個もありませんけども。

2009年10月31日土曜日

肉は 500g 単位で買わなければならない

ポンドという単位をスペイン語でリブラというと知って、ポンドの記号が lb であることが納得できました。元はラテン語のようです。

コロンビアで普通使われている長さや重さの単位はメートル法ですが、たまに違うものが混じってきます。そのひとつがこのリブラ。1ポンドは正確には約 454g ですが、コロンビアでは基本がメートル法だからか、500g を1リブラと考えます。

八百屋や肉屋などで計り売りのものを買うときに、この単位が使われます。スーパーでも野菜や果物は計り売りのことが多いので基本単位ごとの値段が表示されていますが、1kg の値段が書かれていることもあって要注意。

しかし最低 500g 買わないといけないかというとそんなことはありません。「半リブラ」という買い物もできます。うちは2人暮らしなので1回分の肉などは半リブラで買います。ものによっては4分の1リブラで買えるものもあります。しかし肉類はそんなに細かい買い方はしないかも。

半リブラといえば 250g。しかし日本で 100g 単位の買い物をしていたことを考えると、本当は 200g でいいんです。でもそんなちびちびした単位を受け付けてもらえるとは思えず、いつも半リブラと言って、切った肉なんかは「ちょっと多いけどいい?」とか言われて 300g くらい買わされるという……。多ければ次の日の昼とかに食べるからいいんですけど、むしろ減らしてと言いたいと思いつつ言えない小心者です。

2009年10月30日金曜日

カボチャはスイカの匂いがする

言いたいことはそれだけです。

ハロウィーンの季節だからカボチャというわけではありません。コロンビアのハロウィーンは子供の仮装イベント程度の位置付けで、カボチャをくりぬいたりもしませんし。

コロンビアで、というかうちの近所で見かけるカボチャには2通りあります。ひとつはカラバサと呼ばれるもの。ハロウィーンでランプを作るのはたぶんこのタイプでしょう。もうひとつはアウヤマというもので、日本のカボチャに近いです。

でも「日本のカボチャに近い」と言ったらきっと、コロンビア在住邦人のみなさんに怒られるだろうな。似てると思うんだけど。皮が緑で中は黄色ですしね。ただ、日本のものよりもう少し繊維質な感じです。私はほくほくした食感の食べ物が苦手なので、日本のカボチャよりこれの方が食べやすいです。

カラバサはもっと繊維質で、ヘチマみたいな感じではないかと思います。食堂とかでたまに出てきますが、料理の仕方を知らないので実物をちゃんと見たことがありません。あっさりした煮物のような調理をされることが多いです。

アウヤマの方は、たいていつぶしてマッシュポテトみたいな料理になっています。味付けはやや濃いですが。パウンドケーキのような形になっていることも多いかも。

しかし私は日本の煮付けのように、大きく切って砂糖と醤油で煮てしまいます。

話が前後しますが、アウヤマはけっこう大きいので丸ごと買うことはまずありません。近所の八百屋だとレジの近くに切りかけのものが置いてあり、「1リブラください」とか言うとその場でナタみたいなもので切ってくれます。リブラとは 500g のこと。本当はリブラはポンドのことで、1ポンドは正確に 500g ではないんですが、コロンビアのリブラは 500g なんです。その話はまたいずれ。

頻繁にアウヤマを料理するわけではありませんが、ときどき買ってきて切るとスイカの匂いがするのです。そのたびに、本当に瓜なんだなぁと思います。

2009年10月29日木曜日

果物の選び方

マラクジャという柑橘系の果物があるのですが、店頭でこれを振るような仕種をしている人をときどき見ます。何をやっているのかと思っていたのですが、聞いたら重さを見ているらしい。マラクジャは柑橘系ではありますが(たぶん。味からの想像です)、オレンジやみかんのように皮が柔らかくありません。内部の熟れ具合を見るには重さから判断するというわけです。見た目のわりに軽い果物はおいしくないということになります。

グラナディージャという果物にもその判断が適用されます。これは厚い皮の中に半透明の果肉が種と共に詰まっている、日本では見かけないタイプの果物です。ある日、近所の八百屋さんでこれをいくつかレジに持っていったら、レジの女の子に「これは軽すぎるからダメ。もっと重いのと取り換えなさい」と言われました。とても親切。ですが商売として大丈夫なのか。

ふだん朝食にパパイヤを食べるのですが、パパイヤの選び方はけっこう難しい。基本は「皮を押してみてあまり固いのは熟れていないのでよくない」ということですが、大型スーパーなんかに売っているてかてかしたパパイヤはだいたい固いです。しかしそれがまずいかというとそんなことはありません。といって必ずおいしいとも限りません。

近所で買うパパイヤはてかっていません。熟れすぎて傷んでくると傷んだ部分を切り取り、切り身にしてラップをかけて売られています。それだと中身が見えるのではずれは少ないですが、私が買うのはたいてい丸ごとです。

熟れすぎず、固すぎないのがいいんですが、たまに持ってみて軽い感じのするのがあります。それが悪いかというとそうでもなく、種のない種類だったり。種がない分軽くなるようです。

こんな感じで手探りなので、ちょうどいいパパイヤが買えるとうれしい。熟れすぎる一歩手前くらいのパパイヤは本当においしいですね。

コロンビアは赤道直下なので野菜や果物には季節がないのかと思っていましたが、そうでもないよう。雨の調子なんかも関係するんだと思いますが、同じ果物でも高いときと安いときがあります。今はパパイヤは安いみたいでありがたいです。

2009年10月28日水曜日

Los simuladores と外国人登録

この番組はたいてい、本編の始めに 10 分ほどの短い話があるんですが、今回はそちらの方がおもしろかったです。

外国人登録所のようなところの窓口の一つに、何かと難癖つけては書類を受理してくれない年輩の女性がいる。

やっぱりこういうことってどこにでもあるんですね。私自身はコロンビアの役所でいやな目にあったことはありませんが(ものすごく待たされたりすることはありますけども)、日本のコロンビア大使館の受付の女性はいけ好かない感じでした。今もその人が受付なのかどうかわかりませんが。法律的な書類の申請に行く人だけでなく、ちょっと電話で問い合わせただけの人もいやな印象を受けるらしく、ある意味とても公平な人かもしれません。

それはさておき、ドラマの中のこの女性のところにある日、ハンガリー政府から派遣されたような男性2人がやって来ます。彼らの言うには、彼女は数十年前にハンガリーからメキシコに養子に出された子供のひとりらしいのです。

最初はもちろん半信半疑の彼女ですが、ハンガリー大使館(偽)でパスポートも支給され、ついに仕事を辞めてハンガリーに行ってしまいます。移住したのかどうか、細かいところはわかりませんでしたが、いやな係官を辞めさせるためだけにえらい大がかり。ハンガリー側には彼女の祖父母(自称。というか言葉は通じませんが)も住んでいます。最近国外追放になる人多いな。

ハンガリーという選択がまた憎い。ハンガリーの人はアジア系に近いらしいので、ラテンアメリカの混血系の人だと、ハンガリー人だと言われればそうかなー、と思ってしまう人もいるのかも。もっとも、ハンガリーのことをそれほど知る人もいなさそうですが。

最初の方で、日本人の Taka さんやよく出てくるアメリカ人らしい黒人青年が「あの6番窓口のおばちゃんにまたやられたよ」みたいにぼやいているので、これはひょっとして彼らの実体験から来ているのでしょうか。

2009年10月27日火曜日

ラテンアメリカンアイドルとsazon

ラテンアメリカンアイドルは先週、10人の出場者が8人に減らされるところでした。なぜ2人減るかというと、本選出場者(ファイナリスト。スペイン語ではフィナリスタ)は基本10人なんですが、予選の最後にいつも「今日はびっくりなお知らせがあります」と言ってファイナリストが2人増やされるんですね。毎シーズンこうなので全然びっくりじゃありません。でも本選の回数は増やせないらしく、最初の方で落ちる人が増えます。これって出場者にとってお得感はあるんでしょうか。

今回、パラグアイのタニアは審査員のジョン・セカーダ(キューバ人歌手)に「sazon が足りんよ」みたいなことを言われてました。

その後歌ったドミニカのマルタには「sazon があるというのはこういうことだ」と。

sazon を辞書で引くと、「成熟(した状態)」「味」「時機」などと書かれています。うーん、なんとなく言いたいことはわかるんだけどどういう日本語になるかわかりません。「円熟味」ということでしょうか。ただ、マルタは18歳なので「円熟」と言ってしまうと少し違う気も。

マルタは今期、私のイチオシです。ルックスはイマイチかもしれないけど歌はうまい。オーディション番組の王道ですね。そのイマイチなルックスがだんだん垢抜けていくのも楽しい。

タニアはない。彼女の歌は本当に、歌詞と音程を追うだけでいっぱいっぱいという感じです。しかし人気はあるようで、その先週分でも落ちませんでした。

なぜ人気があるか。こちらの公式サイトをご覧ください。
http://www.myspace.com/latinamericanidol

タイトルから下に少しスクロールすると20人のファイナリスト(本選の前にもうひとつ、視聴者投票で複数落ちる予選があるので20人)の一覧がありますが、一番下の右から2人目、バービーみたいなのがタニアです。

結局顔か。ブラジルズ・ネクスト・トップモデルとかメキシコズ・ネクスト・トップモデル(という番組があるんです。ほんとに)に出た方がよさそうな。というかもう少し年を取ったら実際に出るんじゃないかと思います。たしかこの子はまだ十代なので。そのモデル系番組が何歳から出られるものか知りませんが。

顔がいいのは全然かまわないんですけど、歌もうまくないと困る。そういう番組なんだから。

今週落ちた2人のうち1人はコロンビアのオスバルドでした。この子、去年もこのあたりで落ちてます。何回でも応募できるのか回数制限があるのかはわかりませんが、彼は彼でもう諦めた方がいいと思う。歌も顔も悪くないので、たぶん視聴者層の好みと合わないんだと思うんですよね。コロンビアのオーディション番組に出ないのは何かこだわりがあるのか、既に落ちたあとか。

彼の顔にはなんか味があります。日本の大衆演劇の女形系の顔。日本人よりは多少彫りが深いと思いますが。目付きとか、年を取ったら ネストール・セラノ みたいになるんじゃないかと思います。それくらい年を取った方が個人的には好みですが、彼本人にはどうでもいいと思います。

2009年10月26日月曜日

Los simuladores

もう何話かわかりません。何本ものビデオテープに1話とか2話とか入ってて……。ただ、この前のクローン話よりあとなのは確かです。たぶん11話くらい。

老人ホームの持ち主が建物を売ろうと考えたために、住んでいる老人たちが路頭に迷いそうになる。それを助ける話。

持ち主は30代くらいの独身女性のようでしたが、彼女にどこか影のある男性が接近し、さらに高い値で買いたいと持ちかける。謎に満ちた彼と夕食を共にした翌日、聖職者らしい男たちが現れ、その男はヴァンパイアだと告げる。

男がヴァンパイアであることがどう関係するのか今ひとつわからなかったんですが、持ち主は最終的に建物は決して売らないとその聖職者(自称)に言う。

という話で、クローン話と同様トンデモに見えるんですが、これがどのくらいトンデモかは日本人にはわかりにくいような気がします。日本人から見ると、「そんなこと信じる人がいるわけないじゃん」と思えますが、それは例えば日本人の「縁起が悪いからお祓いしてもらう」という考え方と通じるものがあるかもしれません。

日本を舞台にして、「この建物を壊したら土地の神様を怒らせる」と言われる、というような話があったとしたら、これはたしかに騙される人もいるかもしれないと日本人には思えるのでは。

ところでこれは今日見たのでハロウィーンシーズンにぴったりと思えますが、実際には先月くらいの放送です。10月は映画やテレビは確かにホラーシーズンなんですが、ハロウィーンではなくてカトリックの「死者の日」のためなのかもしれません。しかし死者の日自体はメキシコの方が盛んのようで、コロンビアではあまり派手な行事などは見かけません。

2009年10月25日日曜日

パステル

昼食時、ひとりだったのでフルーツサラダで済ませようと思いましたが、いつもの店が閉まっていました。1~2週間に1度しか行かないのでよくわからないんですが、完全に閉店しちゃってたらいやだなぁ。気に入ってる店なのに。少し歩くとまた別のフルーツサラダ屋があるんですが、そちらはアイスクリーム入りを頼むとちょっと多すぎるんです。ココの千切りがたくさん入っててもそもそするし。言えば抜いてくれると思いますが、ときどきしか行かない店なので気が引ける小心者。

というわけで、パンを買う用もあったのでパン屋でエンパナーダを買うことにしました。

しかし売り切れ。「パステルならありますよ」と言われました。パステルとは、このあたりではパイのこと。パイは皮からしてもそもそしていてあまり好きではありませんが、背に腹は代えられません。値段を聞くと 1300 ペソでエンパナーダよりやや高い。この店のエンパナーダは 900 ペソなんです。

でも2つ買うことにして、「牛肉と鶏肉と1つずつ」と言ったら牛肉は売り切れてました。なぜみんな鶏肉を避けるの? 週末のせいか、軽食の売れ行きがよかったようです。

昨日書いたような理由で鶏肉は敬遠していたんですが、この店では鶏肉のエンパナーダを買ったこともあるし、信用して鶏肉パイを2個買いました。

そしたら意外とおいしかったです。パイの皮はもそもそするのが仕様なので仕方ないんですが、中身の鶏肉はさほどぱさぱさでなく、卵も入っていました。しかし値段の高さは伊達ではなかったようで、2個食べたらかなりおなかがいっぱいになりました。1個でもよかったかもしれない。

そもそも外で食べる鶏肉に気を付けようと思ったのは、カルフールのチキンサンドに当たったことがあるからです。ここのサンドイッチはフランスパンに挟んであるんですが、チキンはやはりゆでたもので、火が十分に通っていなかったようです。それまで何度か食べていて大丈夫だったんですが、甘かった。それ以来、カルフールでサンドイッチを食べるときはターキーにしています。これだとハムなので。

カルフールの悪口をよく書いているような気がしますが、普通に買い物する分にはいいんです。家からも近いし、魚なんかかたくさんあり、値段も手頃でうれしい。が、ここの内部のカフェテリアとは相性がよくないようで、ここで食べてはときどきお腹を壊します。悪いものを出すというよりも、まさに相性がよくないんでしょう。料理にチーズや乳製品が入っているとダメです。チーズが上等すぎるのか……。

2009年10月24日土曜日

コロンビアのエンパナーダ

昨日ちょっと書いたエンパナーダですが、ご存じの方も多いと思う南米料理です。小麦粉で作った皮で挽肉などを包んで揚げた、大きめの揚げ餃子みたいな? 私が知っているのはコロンビアのものだけですが、コロンビアでは主に牛肉のもの(挽肉はこれ)と鶏肉のものがあります。

最近はお米も一緒に入っているものも多いです。何年か前まで、近所にお手製のエンパナーダを出す店があり、そこは安いし、具もソースもいろいろあってよかったんですが、調理人兼店主のおばさんが身体を壊してしまったそうで閉店されてしまいました。

具いろいろのエンパナーダには、ゆで卵、マッシュルーム、チーズなど、本当にいろいろなものが入っています(ひとつにすべてが入っているわけではありません)。

ソースと書きましたが、ボゴタのエンパナーダには基本的に普通の塩味くらいしか味がありません。店頭にアヒ(とうがらしのこと。からい)、マヨネーズ系、アボカド系などのソースが用意され、それをつけて食べるのが普通です。

パン屋にもよく売っています。また、チョリソやアレパなんかを置いたコロンビアで言うファーストフード(comidas rapidas)の店にもありますが、こういう店のは冷凍品をあたためたのが多い感じでやや不満。それも店によってはそこそこおいしいですが。

ぱっと見たファーストフードの店などで試しに食べるなら、牛肉の方が安全です。鶏肉は少し前に食中毒が出て問題になったのと、鶏肉の場合たいていは(丸ごと?)ゆでた肉を裂いたようなのが入っているんですが、中まで十分に火が通っていないことがたまにあり、それもまた食中毒の原因になる可能性があるからです。

値段は、住宅街のパン屋なんかで買うと 1000 ペソ以下ですが、ファーストフードの冷食品だと 1200 ペソ(うちの近所調べ)。町なかのショッピングセンター内にあるチェーン店だともっと高いんじゃないかと思います。ちなみにこれまで食べた中で最もまずかったエンパナーダは、大手スーパーのカルフール(コロンビアではカレフールと呼ぶ)のものでした。何年か前のことですが。

2009年10月23日金曜日

ラテンアメリカンアイドルとコロンビアの携帯電話

『ラテン・アメリカン・アイドル』はその名の通り、『アメリカン・アイドル』のラテンアメリカ版です。『Los simuladores』と同じく SONY チャンネルで放映されており、ラテンアメリカ全域をカバーしているのが特徴。優勝者はもちろん、SONY からデビューします。

今年で4年目になりますが、第2シーズン頃から既に、中米諸国の強さが目立ってきました。まあそういうこともあるかなーと気にしてなかったんですが、よく考えるとこれは、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアなどのラテンにおけるメジャーな国だとその国のオーディション番組があり、そこで国内デビューしてもそこそこの知名度が得られるからかも。コロンビア国内のテレビをほとんど見ないのでそこに思い至るのが遅れましたが、たしかコロンビアには『Factor X』という番組があり、けっこう人気あるようです。これはイギリスの『X Factor』という番組が元になっているよう(『アメリカン・アイドル』も元はイギリスの番組)。

上のメジャー国でブラジルを入れていませんが、この番組は基本的にスペイン語ベースなのでブラジルはさりげなくハブられちゃってるんです。アルゼンチン予選などでたまにブラジルの子がいますが、スペイン語が話せるのが前提。ブラジルにはスペイン語が話せる人は多いようですが、この番組ではめったに見ません。ブラジルのことはよく知りませんが、やはり国内に同様の番組があるんじゃないでしょうか。

ところでこの番組の投票は携帯電話で行うことになっています。投票する人も各国にいるわけなので、受付とか集計とか大変そう。しかし投票も面倒そう。

『アメリカン・アイドル』を見たことのある人はご存じかと思いますが、この番組では普通、出場者が歌っているときに画面の下部に「この人に投票するときはここにかけてください」みたいなテロップが出ます。しかしラテンアメリカの衛星・ケーブル系の放送局はすべての国に拠点があるわけではなく、たとえばうちだと SONY の電波はベネズエラから流れてきますから、そのテロップにある情報はベネズエラのもの。

コロンビアでもベネズエラと同じ番号にかければいいということはサイトを見てわかったんですが、逆に言えば、サイトを見なければそれはわからない。テロップにはそのメッセージを携帯で送るときにかかる料金がベネズエラの通貨(ボリーバル)で表示されているので、普通は各国共通だとは思いませんからね。

コロンビアでも携帯電話はかなり普及していますが、私が携帯を持ちはじめたのは今年の3月頃。今年のこの番組を見始めてから、そういえば投票できるなと思いました。しかし1回1750ペソでやや高いような。1750ペソあったらエンパナーダ1個買ってお釣りが来ますよ。この番組は複数投票も奨励されていますが、あんまりがんがん投票する人はいないんじゃないかって気がする。

私の携帯はプリペイド(prepago)で、だいたい1カ月1万ペソ買うんですが、普通は1万ペソリチャージすると2倍とか3倍とかのサービスが付いて2万とか3万ペソ分使えます。しかし1万ペソだと1カ月しか期限がなく、1カ月たったらそれまで。また次の1万ペソを買わないといけません。でも私は基本的にほとんど携帯で通話しないのでいつもそれがほぼ丸ごと残っていてもったいない。だから投票にお金がかかるのは別にかまいません。が、今は前回の期限が切れてから全然リチャージしてないので通話料がないんですよね。リチャージが微妙に不便でめんどくさい。いや、近所の店でカードを売ってればいいんだけど「5000ペソのしかない」とか言われる。5000ペソだとめったにサービスが付かない上、期限が1週間なので大変もったいないです。

ところでコロンビアではこの通話チャージのことを minuto と言います。「携帯に電話してくれる?」と言って、"No tengo minuto". と言われたら、「通話料ないからかけられない」ということ。プリペイドを使っている人が多いので、これは非常によく聞く表現です。自分からはかけられないけど受信はできるからOK。なんてラテン的。

2009年10月22日木曜日

メキシコの冤罪事件

数日前の新聞に、メキシコで起きた冤罪事件とそれを記録したドキュメンタリー映画の記事が掲載されていました。

これも突き詰めればどこの国にでもある問題かもしれませんが、メキシコは特にひどいようです。昨日の記事に書いたように『Los simuladores』には警察の腐敗を取り上げた事件が多く、メキシコの人はみんな警察が嫌いなのか、と冗談ぽく思っていましたが、それはもうシャレにならない状態らしい。

この記事(「Wall Street Journal」というページにあったのでアメリカの新聞記事の翻訳のようです)によれば、いったん逮捕された場合の有罪率は 85% 以上。それだけなら警察が優秀だとも考えられますが、逮捕の 60% 以上は事件発生の 3 時間以内に行われるらしい。さらに容疑者 10 人のうち 9 人は何の物的証拠もなく有罪を宣告される。などと書かれています。

ドキュメンタリーは身に覚えもなく逮捕され、逮捕後に自分が殺人犯とされていることを知ったメキシコ人青年の話で、彼に力を貸したアメリカ人(名前から察するにラテン系)弁護士たちがカメラを持ち込んで映画にしたようです。今年のトロント映画祭で上映されたそうで、タイトルは『Presumed Guilty』。

2009年10月21日水曜日

Los Simuladores 2-9

『Los simuladores』はもともとアルゼンチンで制作されたテレビドラマです。その後ラテンアメリカ各国でリメイクされ、去年からメキシコ版が放送されています。メキシコ版は Sony Entertainment Television というラテンアメリカ全体をカバーするケーブル・衛星系チャンネルでも放映されるため、国際版とも言えます。私が見ているのは当然 Sony。

メキシコ版にはメキシコで活躍されている日本人俳優 Takabrown さんが準レギュラーのような感じでちょくちょく出演されています。このドラマの撮影の様子も書かれた Takabrown さんのブログは こちら

このドラマの内容は、トラブルに巻き込まれた人を4人組の正体不明の男たちが助けてあげるというもの。どちらかというとコメディよりでしょうか。助けてあげる相手が必ずしも正しくないことがあるのがラテンぽくておもしろい(高校生のカンニングの手伝いをしたり)。

今週見たのは(注:これは10月上旬に別ブログに投稿したものの再掲です。見たのは今週ではありません)第2シーズンのたぶん9話目です。ビデオがたまっていて順番がわからなくなっているので確実ではありませんが。

これは今シーズンの最高エピソードじゃないかと思いました。前半のリアルな恐怖と後半のトンデモっぷりの落差が素晴らしい。

今回の依頼人は夫の家庭内暴力に悩む妻。これはどこにでもある問題ですが、コロンビアでもときどき新聞で大きく取り上げられる社会問題です。メキシコも例外ではないんですね。

依頼人は裕福なレストラン経営者の妻ですが、夫に精神的な虐待を受け、ときには肉体的暴力もふるわれています。それを見かねた妻の友人が警察に届けを出します。しかし、「彼女の夫は市(彼らが住んでいるのはアカプルコ)の有力者とつながりがあるので彼女の名前を出すのは控えたい」という友人に対し、警察の受付が「大丈夫、秘密はきちんと守られますよ」と言うんですが、数時間後には署長から夫本人にじきじきの電話が。

あー、きっとメキシコでは日常茶飯事なんだろうな。コロンビアでもきっとある。それどころか、世界中探してこういうことが起きない場所ってほとんどないのでは?

いやつまり、署長には悪いことをしている意識はないんですよ。えっ、あの○○さんが? そんなことする人には見えないけどなー。ちょっと本人に注意しとこう。

こんな感じ。自分の知らないところで警察に届けが出されたことを夫の口から聞く妻の絶望感。

事件を解決する4人組には、たまたまその場に居合わせた以前の依頼人などから口コミでたどることになっています。

あとネタバレ(実際にこのドラマを見る人は少ないと思うので特に隠していません)。

作戦に従い、夫はメキシコシティに呼び出されます。話によると、夫を含めてそこに呼び出された数人の遺伝子は秘密裡に行われた生体実験に使われており、クローンが作られていたという。それぞれのクローンは特定の能力を伸ばされていた。彼らはその夫以外のクローンがさまざまな活動をしたり、実験に使われたりしている場面を見せられる。

しかし夫のクローンはそこにはおらず、地下で厳重に監視されているらしい。ほかのメンバーから離されてその地下室に行った夫が見たものは、血まみれになって倒れている数人の特殊部隊らしき制服に身を包んだ兵士だった。「クローン X900 号は逃げてしまった」と通信する案内者たち。

このあと彼はそのクローンの追跡に連れて行かれ、クローンは彼の身分証やパスポートを奪ってしまいます。最終的にクローンは逃げ、彼は殺人者であるクローンと混同されて逮捕などされないよう、国外逃亡することを勧められます。

国外に逃げる直前、妻に電話して「俺が近づいてきたら逃げろ」と警告する夫はちょっと切なくないこともない。その後彼はアラスカに行った模様です。

しかしもちろん、彼のクローンというのは存在しません。彼自身、「クローンが襲撃して逃げたあと」しか見てないんです。ほかのメンバーはみな仕掛け人で、クローンとされたのは双子(作戦ごとに雇われエキストラがいます。ほかにレギュラーの協力者もおり、Takabrown さんがされているのはその1人)。

今回はまた、この夫を別室に閉じ込め、音声だけで緊急ミーティングの様子を聞かせる場面がありましたが、このミーティングはみんな台本読みながらスーパーで買ってきた寿司で食事してる。普段はあまり見られないこの生活感というか作戦の舞台裏みたいなのも楽しかったです。