『Los simuladores』はもともとアルゼンチンで制作されたテレビドラマです。その後ラテンアメリカ各国でリメイクされ、去年からメキシコ版が放送されています。メキシコ版は Sony Entertainment Television というラテンアメリカ全体をカバーするケーブル・衛星系チャンネルでも放映されるため、国際版とも言えます。私が見ているのは当然 Sony。
メキシコ版にはメキシコで活躍されている日本人俳優 Takabrown さんが準レギュラーのような感じでちょくちょく出演されています。このドラマの撮影の様子も書かれた Takabrown さんのブログは こちら。
このドラマの内容は、トラブルに巻き込まれた人を4人組の正体不明の男たちが助けてあげるというもの。どちらかというとコメディよりでしょうか。助けてあげる相手が必ずしも正しくないことがあるのがラテンぽくておもしろい(高校生のカンニングの手伝いをしたり)。
今週見たのは(注:これは10月上旬に別ブログに投稿したものの再掲です。見たのは今週ではありません)第2シーズンのたぶん9話目です。ビデオがたまっていて順番がわからなくなっているので確実ではありませんが。
これは今シーズンの最高エピソードじゃないかと思いました。前半のリアルな恐怖と後半のトンデモっぷりの落差が素晴らしい。
今回の依頼人は夫の家庭内暴力に悩む妻。これはどこにでもある問題ですが、コロンビアでもときどき新聞で大きく取り上げられる社会問題です。メキシコも例外ではないんですね。
依頼人は裕福なレストラン経営者の妻ですが、夫に精神的な虐待を受け、ときには肉体的暴力もふるわれています。それを見かねた妻の友人が警察に届けを出します。しかし、「彼女の夫は市(彼らが住んでいるのはアカプルコ)の有力者とつながりがあるので彼女の名前を出すのは控えたい」という友人に対し、警察の受付が「大丈夫、秘密はきちんと守られますよ」と言うんですが、数時間後には署長から夫本人にじきじきの電話が。
あー、きっとメキシコでは日常茶飯事なんだろうな。コロンビアでもきっとある。それどころか、世界中探してこういうことが起きない場所ってほとんどないのでは?
いやつまり、署長には悪いことをしている意識はないんですよ。えっ、あの○○さんが? そんなことする人には見えないけどなー。ちょっと本人に注意しとこう。
こんな感じ。自分の知らないところで警察に届けが出されたことを夫の口から聞く妻の絶望感。
事件を解決する4人組には、たまたまその場に居合わせた以前の依頼人などから口コミでたどることになっています。
あとネタバレ(実際にこのドラマを見る人は少ないと思うので特に隠していません)。
作戦に従い、夫はメキシコシティに呼び出されます。話によると、夫を含めてそこに呼び出された数人の遺伝子は秘密裡に行われた生体実験に使われており、クローンが作られていたという。それぞれのクローンは特定の能力を伸ばされていた。彼らはその夫以外のクローンがさまざまな活動をしたり、実験に使われたりしている場面を見せられる。
しかし夫のクローンはそこにはおらず、地下で厳重に監視されているらしい。ほかのメンバーから離されてその地下室に行った夫が見たものは、血まみれになって倒れている数人の特殊部隊らしき制服に身を包んだ兵士だった。「クローン X900 号は逃げてしまった」と通信する案内者たち。
このあと彼はそのクローンの追跡に連れて行かれ、クローンは彼の身分証やパスポートを奪ってしまいます。最終的にクローンは逃げ、彼は殺人者であるクローンと混同されて逮捕などされないよう、国外逃亡することを勧められます。
国外に逃げる直前、妻に電話して「俺が近づいてきたら逃げろ」と警告する夫はちょっと切なくないこともない。その後彼はアラスカに行った模様です。
しかしもちろん、彼のクローンというのは存在しません。彼自身、「クローンが襲撃して逃げたあと」しか見てないんです。ほかのメンバーはみな仕掛け人で、クローンとされたのは双子(作戦ごとに雇われエキストラがいます。ほかにレギュラーの協力者もおり、Takabrown さんがされているのはその1人)。
今回はまた、この夫を別室に閉じ込め、音声だけで緊急ミーティングの様子を聞かせる場面がありましたが、このミーティングはみんな台本読みながらスーパーで買ってきた寿司で食事してる。普段はあまり見られないこの生活感というか作戦の舞台裏みたいなのも楽しかったです。
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