2009年11月29日日曜日

スペイン語の字幕

『海がきこえる』というアニメがテレビで放送されていたので見てみました。日本語が懐かしいので、字幕放送の日本映画が放送されていればなるべく見てみます(ちょっとお金を払ってNHKが入るようにすればいつでも日本語の放送が見られます。でもそうするときっとたいして見ないという気がする)。

内容は……まあ、ひょっとすると原作を読めばおもしろいのかなという感じでした。アニメだからアニメファンの子たちが見ていたらちょっとがっかりしたんじゃないかな。

しかしこれ、台詞のほとんどが高知弁なんですが(土佐弁と言うべきなのかしら。どっちみち、棒読みっぽい印象は免れませんが)、字幕が意外と間違っていなくて感心しました。スクリプトの標準語訳みたいなものがあるのか、あるいは英語字幕からスペイン語にしたのか。

興味深いと思ったのは、この登場人物はほとんど高校生で、互いを名字で呼ぶのですが、それがきっちりファーストネームで字幕化されていたことです。たしかに西欧圏では友達を名字で呼ぶことってあまりないですからね。しかし、日本の名前なんて、どっちが名字でどっちが名前か、どうせこちらの人にはわからないと思う……。多少日本語がわかる人が見ていたとしたら、音と字幕が違うのでかえって混乱するのでは。字幕を付けた人にこだわりがあったんでしょうか。

字幕といえば、『The Tudors』というイギリスのドラマを見ていますが(日本でも最近放送が始まったよう)、これの字幕が前から読みにくいと思っていたところ、その理由のひとつがわかりました。

これはヘンリー8世を主人公とした時代ドラマなので台詞が長くて難しいことがよくあるんですが、字幕が一画面に収まりきらないほどの文の場合、なぜか後半から訳して字幕になっていることがあるのです。日本語でも、英語の文章をうしろから訳すことがあったりしますが、あの感じ。そのため、話されている内容と字幕の内容がちょっと違うのです。

英語は日本語と違ってわかる人も多いと思うので、私のように耳で聞きながら字幕で補完する人も多いはず。聞こえる台詞と字幕はある程度揃えておいてほしいです。

2009年11月28日土曜日

クリスマスはアンチェタの季節

以前もどこかで書いたような気がするのですが、「アンチェタあります」という貼り紙を見かけるとクリスマスが近いことを実感します。

アンチェタとは、さまざまな物を詰め合わせてプレゼントっぽく包装したもの。日本の果物かごのような、バスケットに入っていることが多いです。

内容は店によって違い、近所の小型スーパーならそれこそ本当にふだん使いの、ケチャップとかパスタとか缶詰とかが詰め合わされています。バスケットがセロファンみたいなもので覆われているだけなので、中身はすぐにわかります。

高級スーパーに行くと高級ワインとチーズ、ハムの詰め合わせなんかもあります。

これは見た目の通り、クリスマスの贈り物に使われるものです。日本のお歳暮にも似ていますが、最も違うのは、ふつう、目上の人から贈られるという点でしょう。会社から社員に贈られるケースもあるようです。

うちではほとんどもらったこともあげたこともありませんが、毎年クリスマスになると店にたくさん並んでいるので、多くの人がやり取りしているものと思われます。比較的裕福な人から比較的貧しい人へ、クリスマスくらいはせめて食べ物の心配なく過ごせるように、というような慣習でしょうか。これを見るといつも、「若草物語」のクリスマスの朝、姉妹たちが近所の家に朝食を持っていく場面を思い出すのです。

2009年11月27日金曜日

ネギと生姜

意外かもしれませんが、長ネギは普通の食材としてよく使われています。しかしうちではあまり使いません。薬味を使うような料理をあまりしないし……。

コロンビアでは、ごはんを炊くときに入れたり(人による。玉ネギを使う人もいます)、焼いた牛レバーなんかの、それこそ薬味の一部に使われたりします。この薬味には伝統的なコリアンダーなんかも入っています。

先日、久しぶりにネギを買うことがあったんですが、余ったのでその後、朝食の卵に入れてオムレツみたいにすることに。

ネギを焼く匂いは懐かしいですね。こちらには玉ネギとトマトを入れたオムレツのような料理もあり、これは「ペリコ」と呼ばれます。レストランなどで出す朝食にはよく「お好みの卵(huevos al gusto)」というメニューがありますが、その中にも入っています。玉ネギとトマトを炒める匂いもまた、食欲をそそりますね。

最近はうちの近所の小さい店でもときどき、生姜を見かけるようになりました。みなさん、どうやって使われているんでしょうか。

安いのでときどき発作的に買ってみるんですが、なかなか使わなくて腐らせてしまうことがあり、あんまり買いません。豚肉を焼くときに使えばいいんですけど。あと、アグア・デ・パネラという、黒糖を溶かしたような飲み物におろし生姜を入れるとしょうが湯みたいでおいしいです。

ただ、おろし金はまず手に入らないので、日本などで買ってくる必要があります。

2009年11月19日木曜日

6個のパン

昨夜は、雨はさほど強くなかったんですが雷が頻繁に鳴り、インターネットが不安定になって使いものになりませんでした。よくあることです。

夕方、いつものパン屋に行って、今回は「5個と5個」ではなく「6個と6個」買いました。そうしたら、"Seis y seis". と言ったのに、おじさんは "¿Cinco y cinco?" と聞き直しました。

それを言い直したら納得してくれたんですが、今度は合計金額を出すのにやや苦労されている様子。女性店員の助けでやっと金額が出ました。

彼の頭の中では「5個のパン=1000 ペソ」というまとまりができていて、他の数字が出ると難しくなってしまうのでしょう。悪いことしちゃったかな。

でも意地悪でそうしたのではないんです。うちはだいたい朝食にこのパンを3個食べるんですが、インテグラル(全粒パン)を食べるのは私だけなので、5個単位で買うと半端になってしまうんですよ。ずっと前からそう思ってはいたのです。パン屋のおじさんには、これも試練と思って耐えていただきたいと思います。

2009年11月16日月曜日

日曜日の植物園

また行ってみたんですが、花はまだ開いていませんでした。たぶん、もう行かないと思います。さすがにずっと付き合ってはいられません。

温室は今はソーラーパワーであたたかくされているようなのですが、それでも雨が降ると気温が下がるし、日照時間も減るしで、アマゾンとはさまざまな条件が違うので開花の予測も難しいのでしょう。この植物園に植えられてから 35 年の間に3回しか開花していないという話もそれを裏付けています。1回目は 75 年、2回目は 95 年だったそうです。

今日は日曜なのでさすがに混んでいました。しかしほとんどの人の目当ては蝶の展示です。そのため子供連れが多かったです。

私たちが着いたのは昼すぎでしたが(昨日は 10 時頃が見頃と書いていますが、その時間ちょうどに行ったりしないのがコロンビア)、ちょうどそのとき強い雨が降り出しました。切符売り場に並んでいると、若い男性職員が「今日は蝶の展示はもうありません」と言っていました。雨で気温が下がったりして蝶が活動しなくなり、あまり見るべきものがなくなるからということでした。あと、午前中に相当多くの入場者があったようです。展示打ち切りを切符売り場の前で告げるのは良心的だと思いました。

これで、ほとんどの人は列を離れてしまいました。

しかし温室に行くと、それ以前に入場した人がまだ列を作っていました。蝶の展示は温室の一角にあるのです。

雨を避けるために列を屋根の下に入れようとする職員のひとりに、私たちは蝶を見に来たのではなく、ビクトリアだけ見たいんだと言うと、横の入口から入れてくれました。しかしそこでも順路に従って人はかなり並んでいて、私たちもゆっくり進むことになりました。

雨を避けられたのは助かりましたが、ところどころ雨漏りしています。雪が降るような場所ではないので、建物の密閉性が甘いのです。

ビクトリアの池は順路の最後にあります。そこでは昨日の園長が話をしていて、例の「プロフェ」の顔も見えました。

つぼみは昨日より少しふくらんで見えましたが、やはり閉じています。このあたりから、単に雨宿りをしている人が増えてきました。そういう人は動かないので、その人たちの間を縫って外に出、さっさと帰ってきました。

蝶の展示も興味深いし、別料金とはいえやはり 2000 ペソなので安いんですが、これは2年ほど前に見ています。この前、近郊コタの自然公園みたいな場所でも見たし、こんな人混みに混じって見るほどでは。

でも植物園自体はゆったりしてなごむ空間です。アヒルなんかも放し飼いになっていて、そこらを歩いています。うちからはそれほど遠くないので、またときどき来るでしょう。

2009年11月15日日曜日

再びビクトリア

土曜日に開くというオオオニバスをまた見に行きました。私が「日没後に咲くらしい」と言ったことと、どっちみち夫は仕事か何かで昼間はいないので、午後5時頃に植物園の入口前で待ち合わせ。

バスを降りたら夫は既に来ていて、「温室は5時に閉まるようだよ」と言いました。夜に見物客がたくさん来ると言っていたこの前の係のおじさんの話は嘘だったのか、私が適当に聞いていたのか。

植物園が何時に閉まるのかよくわかりませんが、切符売り場はもう閉まっていて、タダで入ることができました(普通の料金は大人 2000 ペソ、子供 2000 ペソ)。とりあえず温室まで行ってみることにして、急いで歩きます。

温室の前まで来たらやっぱり閉まっていました。「閉まってるねー」などと言っていたら、横の入口から入っていこうとした職員を夫が目ざとく見つけて呼び止めました。

「ビクトリアが日没後に咲くという話を聞いたんですけど」と夫が言うと、「いやいやそんなことはない」と言う職員。しかも、花自体はまだ咲いていないらしい。「明日咲きますよ」ということでした。彼はただの職員ではなく、園長でした。それほど年輩ではありません。

日没後に咲くという情報は私がネットで検索していて見つけた NHK のサイトに書いてあったんですが、まるっきり嘘ということもないと思うので、自然の状態とここでは違うんでしょう。

園長氏の話によると、自然の状態ならオオオニバスの花は3カ月に1度咲き、3日間開いているそうです。その説明の途中で、外での立ち話がイヤになったのか、彼は私たちを中に入れてくれました。

入ってみるとまだ何人か一般客らしい人がいました。5時を過ぎたばかりだったからでしょう。

「ここのビクトリアは35年前にアマゾンから持ってきたものなんですよ」と言いながら、園長氏は奥から歩いてきた年輩男性に挨拶しました。そして私たちに「彼が35年前に持ってきた人です」

嘘のようなタイミングです。その人はそれ以来ずっと、ここのオオオニバスの世話をしているそうです。世話係というよりも顧問のような感じでしょうか。園長氏はその人を「プロフェ」と呼んでいたので、学者なのではないかと思います(プロフェはプロフェッソールの略。一般に先生のことをこう呼びます)。


中に入ると、たしかに花はまだ開いていませんでした。写真の中央付近に白い縦線のようなものが見えるでしょうか。これが開きかけているつぼみです。照明があるのは、モニターしているカメラのためのようです。

中で、先ほどのプロフェの話を聞くことができました。葉に子供が載っている写真で有名になったが、実際にはそれほど重いものを支えられるわけではなく、細心の注意を払わないと水に落ちてしまうこと、先住民はいくつもの葉で身体を支えるように四つんばいになってこれの実を採り、食用にすることなどを話してくださいました。

日曜は、朝10時頃が見頃らしいのでまた行くかもしれません。しかし今度こそ混んでいる予感。

2009年11月12日木曜日

ビクトリアを見に行く

「つい最近までオオニバスだと思っていました」という文をネットで読むまで、オオニバスだと思っていました。大鬼蓮だったんですね。

このオオオニバスの花がボゴタの植物園で14年ぶりに開いたそうです。夫が見に行けと言うので行ってみました。スペイン語ではビクトリア・アマソニカと言います。学名のままのようです。

結果から言うと、もう花は閉じていたんですが。そもそも日没直後に咲くものらしいですよ。温室の前にテレビクルーがいたので咲いてるのかなーと思ったんですが。しかし池のそばにいたおじさんに、もうひとつのつぼみが土曜日くらいに開くかもという耳寄り情報を教えてもらいました。

目玉のオオオニバスの花は見られませんでしたが、平日午後の植物園は人も少なく散歩に最適です。温室の中は何かの花の匂いなのか、甘い香りが充満していました。

ただ、コロンビアは緯度の高い国のようにはっきりとした季節がないので、何かの花がいっせいに満開になることはありません。ランのコーナーを見てみましたが、やっぱりぽつぽつとしか咲いていませんでした。

母にメールで送ろうかと何枚か写真を撮っていたら、そこで作業をしていた若い女性が「それはボゴタ市の花なんですよ」と突然話しかけてきました。「その小さい、茶色いの」

私がほとんど目に入らない様子で(実際目に入ってなかった)通り過ぎたので、「ボゴタの花をアピールしなくては!」と思われたのかも。せっかく教えてもらったのでそれも撮っておきました。

帰ってから調べてみたら、そもそもボゴタ市の花が制定されたのは2003年のことのようです。花はオドントグロッスム・ルテオプルプレウム(Odontoglossum luteopurpureum)。彼女は茶色を cafecita と表現しました。茶色をカフェというのはコロンビアでは普通のことですが、コーヒー色だからボゴタの花に選ばれたんでしょうか。

2009年11月10日火曜日

何年かに一度のアレパ

アレパとは、トウモロコシの粉を水で溶き、練って焼いたものです。たったそれだけなんですが、コロンビア国内だけでも地方によってさまざまな種類があるようです。

ボゴタで普通、食事に出てくるのは白いアレパ。白いのは、元のトウモロコシがそういう種類だからです。薄い塩味が付いている程度で、味はありません。鶏の丸焼きなんかに付いてくる出来合いのものは正直あまりおいしくないんですが、自分で粉を買ってきて焼いた、焼きたてはおいしいです。焼いた匂いは少しお餅に似ています。

もうひとつポピュラーなのはアレパ・デ・チョクロというもので、スイートコーンのようなトウモロコシが材料となっているため、甘味があります。バターなども入れるのか、パンケーキのように液体状のものを鉄板に伸ばして焼きます。

ボゴタから少し郊外に出ると、アレパ・ボヤセンセというのが主流になります。ボヤカ(県名)のアレパという意味で、形や大きさは今川焼きに似てるかも。色もそんな感じです。こちらも甘味のある種類です。

だいたいどれも主食として食べられるもので、けっこうお腹にたまります。昼食が多かったり、遅かったりした日の夕食はこれだけでもいいほど。場合によってはチーズを挟んで作られていて、それはさらにお腹がいっぱいになります。

先々月くらいだったか、近所の店の前に見慣れないアレパ売りの人がいました。バイクの後部座席に炉のようなものを載せて、そこでアレパを焼いているのです。すごくおいしそうな匂いだったので買ってみました。1つ 1200 ペソ。チーズが挟まっていました。

焼きたてで本当においしかったです。夫などは感動して「これは何年かに一度しか出会えないようなアレパだ」と力説してました。

しかしその人を見たのは一度だけ。ひとつの場所で商売をするのではなく、ボゴタ市内を転々としているのでしょうか。本当に何年かに一度しか出会えないアレパだったようです。

2009年11月9日月曜日

ラテンアメリカンアイドルとテレノベラ

今週というか先週のラテンアメリカンアイドルはテレノベラの主題歌が課題でした。これはまた、えらくラテンアメリカ的な課題です。

テレノベラとはラテンアメリカで放送されている連続ドラマのこと。一般には恋愛を主体としたドラマのことをこう呼び、それ以外のものは「セリエ」と呼ばれるような気がします。コロンビアではよく「ノベラ」と呼ばれますが、そういった略称のようなものは国によって違うようです。

毎日放送され、非常に長く続くのが特徴。先月頃だったか、コロンビアでは、とある人気テレノベラが実に 17 年の放送を終えるということが昼のニュースで伝えられていました。もちろんそのニュースと同じチャンネルのドラマだからこそのニュースですが、わざわざそんなことを……。

人気の出たドラマは国民的ドラマとなり、他国に輸出され、主題歌もヒット曲となります。私はまともにテレノベラを見たことがないんですが、主題歌のいくつかは知っていますし、テレノベラの主題歌と知らずに知っている曲もけっこうあるんじゃないかと思います。

そんなテレノベラの主題歌なのでやはりラブソング。審査員が "¡Emoción!"(感情)とか "¡Pasión!"(情熱)とかが必要と力を込めるのもラテン的。

ところでパラグアイのタニアは先々週くらいに落ちてしまい、先週、つまりこの回はメキシコのロランドが姿を消しました。

男の子の中で応援しているのはチリのルーベンですが、実はこの番組、4年目になるのに南半球から優勝者が出たことがありません。今残っている6人のうち、南半球といえるのはこのルーベンとエクアドルのフェルナンド、ペルーのレイディのみ。エクアドルはちょっとぎりぎりでしょうか。ルーベン、初の南半球優勝者となるか(これまではベネズエラ、グアテマラ、パナマ)。

2009年11月8日日曜日

ラテングラミー

ラテングラミーは、再放送で無事に頭から見ることができました。

ラテングラミーとはその名の通り、グラミー賞のラテンアメリカバージョンです。本家グラミーとの関係はよくわかりません。グラミー賞の中にもラテン部門はありますし。

ラテンポップスを対象とした賞、アウォードはいくつかありますが、私にはこれがいちばん見やすいです。ビルボードとかは在米ラテンアメリカ人のあいだではやった曲が主体で、コロンビアで聞くものとは違うし、MTV だと半分くらいは英語圏の曲になってしまいますし。アメリカのヒット曲ってよく知らないんですよね……。

今年はラテングラミーができて 10 年目、第 10 回ということでひときわ派手だったようで、会場はラスベガスでした。だいたい毎年見ているわりによくわからないんですが、会場の場所は毎年違うようです。また、シルク・ド・ソレイユとコラボレーションしていたようです。たぶん。そう言ってた気がする。

生中継のときに見逃したオープニングアクトはイタリア人のラウラ・パウシーニでした。

賞番組ではありますが、賞の行方とかはそれほど興味深いものではありません。だいたいパフォーマンスする人が賞をもらっていくし。楽しみはパフォーマンスにあります。

今年はミーハー的にはメキシコの男の子グループ、REIK と、アレハンドロ・サンスがよかったです。サンスはアリシア・キースとのデュエット曲がはやっているので、彼女も出演していました。豪華っぽい。アリシア・キースって名前くらいしか知りませんが。

客観的にはレゲトンの Calle 13(カジェ・トレセ)とルーベン・ブラデスの共演が見応えありました。和太鼓の人たちがいたんですが、彼らが何者なのか、あるいはシルク・ド・ソレイユの一部なのかわかりません。シルク・ド・ソレイユもテレビでちらっと見たことがあるだけでよく知らないんです。

ラテンアメリカの音楽イベントを見ると、国は違うけれども同じ言葉を話し、同じ言葉で理解できる、この大陸の人々のパワー、さらに音楽というものが持つパワーのすごさを感じます。

2009年11月7日土曜日

鳩の昼食

よく行く八百屋は個人商店にしては少し大きく、間口だけでも小さい店の倍はあります。その表にエンドウマメの売場があるのですが、道路に近いせいか、たまに鳩が入り込んで豆をつついています。つついているというか、今日見たら堂々と豆を丸飲みしてました。レジと豆売場がちょうど端と端にあるので店の人は気がつかないのかも。

私が買い物を済ませてレジに並んでいると、店主の知り合いらしい男性が「鳩が豆食ってんぞー」みたいなことを言いました。

すると三十代なかばくらいのその店主、顔色も変えずに

"Las palomitas estan almorzando".(鳩は昼飯食ってんだ)

知ってたのね……。

昼下がりで気がゆるんでいたのか、彼は千ペソも余分にお釣りをくれたので返しました。

2009年11月6日金曜日

トイレにおけるチップの悩み

今日はラテングラミーです。番組表では9時からとなっていたのにどうも8時からだったようで、オープニングを見逃しました。明日再放送があるようなので見なくては。

ところでトイレの話です。

今日、近所の大型ディスカウントショップに行き、店の外側にあるトイレに入ろうとしたら入口に女性が座っていました。今でもこうやってお金を払ってトイレを使うところはときどきあります。

しかし値段が書かれていない。いくらかと聞いたら「気持ちでお願いします」みたいなことを言われました。

ええ~。そんなこと言われたら困りますよね。とりあえず、最近払うなら 500 ペソのところが多いように思ったので 500 ペソ硬貨を払いました。

そのまま入ったら紙がありません。販売機があるのかなー、とうろうろしていたら、それを察知したらしくさっきのお姉ちゃんが「紙ー?」と聞いてきました。なんか実際そういう口調だったんです。悪気はないんだけどおおざっぱみたいな。

「はぁ」と言ったら(もちろん Si と言ったんですが)ちゃんと畳んだ紙をくれました。そういえばよく考えると、お金を払うトイレでは払ったときに紙をくれるのが普通なんですが。

ショッピングセンターなんかのトイレはすんなり入れて無料で紙も付いているところが多いですが、場所によってはこうやって人がいたり、鍵がかかっているので近くの店の人に鍵を借りたりしなければならないことがあります。防犯上はその方がいいのかも。夜とか、ひとけのないショッピングセンターのトイレは少し怖いですから。

でもお金を払うなら値段は決めておいてほしいです。

2009年11月5日木曜日

今日こそフルーツサラダ、ココ抜き

近所のフルーツサラダ屋はどうも閉めてしまったようです。そこそこはやっていたように思うのですが、個人経営の店は頻繁に開店したり閉店したり、移動したり商売替えしたりするので油断できません。貼り紙などがなかったので移動ではないと思うんですが。

今日はやっぱりフルーツサラダが食べたいなーと思ったので、もう1軒の方に行きました。ここはバス通りに面しているせいか商売が順調のようで、私たちがここに住み始めたときは本当に小さい、間口一間みたいな店だったのに、今はすごく大きい店ではないもののその2倍から3倍はあります。

大きな液晶テレビ(プラズマかも。どうやって見分けるんでしょうか)も壁に掛かっているし、何より映りがいいのが個人商店のテレビとしては珍しい。衛星を入れてるんでしょうか。

それでいて、ふだん行くと店員さんはひとりしかいません。従業員なのか店主なのかはわかりませんが、やや年輩の女性ひとり。アイスクリームも売っている店で、アイスクリームは早いですがフルーツサラダは少し時間がかかるため、わりと待たされることがあります。テレビはそのための投資なのでしょう。

コロンビアのフルーツサラダはいろいろな果物を細かく切って盛り、そこにチーズやココの千切り、生クリーム、アイスクリームなんかを載せたものです。店によってはゼリーなんかも。

この前もちょっと書いた通り、この店はココを入れるんですが、今日は意を決してココなしでお願いしました。それで値段が下がったりはしませんが、けっこうな食べでがあります。十分なお昼ごはん。

今日のレートだと 207 円くらいです。店によって分量は違い、半分くらいの量を頼めるところもありますし、スーパーだとよく量り売りをしています。

コロンビアの人に「フルーツサラダが好き」と言うとなぜかよく笑われます。これっておやつみたいなものだから、「コロンビアの食べ物で何が好き?」という質問にこれで答えると滑稽に思われるのかも。200 円ちょっとでお腹いっぱいの果物を食べられるのがどれほどの贅沢か、コロンビアの人にはわからないのでしょう。

2009年11月4日水曜日

バラを買った少年のその後

犬を2頭飼っているのですが、1頭は元野良で気が荒いです。今日の散歩も嫌いな犬を見かけて大荒れ。気が立っているときは通行人に吠えたり、人の持っているものの匂いを嗅ぎに行ったり、落ち着いて歩いてくれません。

若い女の子が持っているものに寄っていこうとしたので急いで引き留めました。食べ物とか盗んだら困る。

でも彼女は気がつかなかったようです。暗くなりかけていたので最初はわからなかったんですが、彼女が持っていたのは食べ物ではなく、一輪の花でした。

何年か前に別のブログで、バラを買いに来た少年のことを書いたことがあります。

少年といっても年の頃は二十歳前後。うちの呼び鈴を鳴らして、「お宅の庭のバラを売ってくれませんか」と言ったのです。4年くらい前だったでしょうか。

驚いたのですが、売り物にできるような花ではなかったので庭のバラを一輪切って、そのままあげました。男の子がこの近所の子なのかどうかはわかりません。同じアパートの住人ではないような気がします。顔をよく覚えていないんですが、アパートの住人ならもう少し記憶に残っているはず。覚えているのは、なんてことはない普通の服装で、くたびれたバックパックを持っていたことだけです。

その話をしたら、そのとき夫はこう言いました。「彼は恋をしているんだよ」

花を持っていた女の子には連れがいました。後ろ姿しか見ていませんが、背の高い男性で、くたびれたバックパックを背負っていました。

それがあのときの男の子なのかどうかはわかりません。でも女の子が持っていたのはたぶんバラだったと思います。花屋で買った感じではない、手に持てるくらいに短く切った、包みもない一輪のバラです。

彼の恋は実ったのでしょうか。

2009年11月3日火曜日

気になるエンパナーダの中身は

今日、2日の月曜は「諸聖人の日」で祝日です。

三連休のためか、昨日の日曜に夫のおばさんから招待を受けたので出かけてきました。夫の両親は既に亡く、うちからわりと近くに住んでいるこのおばさんの家にはよくおじゃまします。

別にあらたまった集まりなどではなく、ぼーっと行ったら、エンパナーダが作られている最中でした。エンパナーダって家でも作れるんだ……。そりゃ、餃子だって家で作れるんですからエンパナーダも作れるでしょうが。

見せてもらったところ、この前書いた「エンパナーダの皮は小麦粉」というのは嘘でした。国によっては小麦粉なんだと思いますが、少なくともここで使われていたのはトウモロコシの粉です。アレパの材料と同じものではないかと思います。アレパについてはまたいずれ。

これまで漠然と「エンパナーダの皮っていうのが売ってるのかなー。それにしてもは見たことないなー」などと思っていたんですが、自家製エンパナーダはこの粉で皮から作るらしい。複雑な作業ではないようです。

この粉に水、バター、少量の塩と砂糖なんかを混ぜてこね、粘土のかたまりみたいになったのを少しずつ取ってのばし、具を詰めて皮を閉じ、油で揚げる。これだけです。

時間がかかるのは具を作る作業でしょう。具はあらかじめ調理しておくものだからです。

しかしなにげなく見ていたときに詰められていた具は、チーズとボカディジョでした。なんとコロンビアらしい取り合わせ。でも店でこんなエンパナーダを売っているのは見たことありません。

コロンビアでいうボカディジョとは、グァバの実をつぶして固めたような(どうやって作るのか知りませんが)、見た目ようかんに似たお菓子です。ほかに小型のバナナのこともボカディジョと言いますが、ここではグァバの方です。

それとチーズ。チーズはモツァレラでした。

コロンビアでは、甘いものとチーズの取り合わせは珍しいものではありません。朝食に飲むホットチョコレートにもチーズを入れるし、アグア・デ・パネラという黒砂糖を溶かした飲みものにもチーズを入れます。味のないカンペシーノというチーズにジャムのような、果物の砂糖煮みたいなものをかけたのは伝統的なおやつです。

プラタノという調理用バナナにボカディジョとチーズを挟んで焼くという、日本人にはけっこうカルチャーショックな料理も普通に存在するので、このエンパナーダもしごく普通です。

私はボカディジョはそれほど好きではないんですが、このエンパナーダは揚げたてだったこともあっておいしくいただきました。ほかに普通の、鶏肉のエンパナーダもありました。揚げたてのエンパナーダは本当においしいです。今日はちょっと胸焼けします。

2009年11月1日日曜日

千個のパンを買えと言うのか

今夜がハロウィーンなんですね。コロンビアでは「魔女の夜」とも言います。たまたま夕方遅くに出かけたら、仮装の子供をけっこう見ました。ペットショップやカルフールの店員も仮装していたり。目的がよくわからない。

ところで、日本人は計算が得意だと言う人がよくいるような気がしますが、計算というのは慣れなので、ある数え方に慣れているとほかの数え方がよくわからない。自分の数え方の方が優れていると思いたい人が「日本人は計算が得意」みたいに言うんじゃないかという気がしてなりません。

そんな小理屈はどうでもいいんですが、コロンビアの店の人の計算法も日本人の(というか私の)常識とは少し違っていることがあります。こっちはスペイン語を聞きとるだけでいっぱいいっぱいなので、予想と違うことを言われると虚を突かれて何言われたんだかわからなくなってしまったり。

今でもよく引っかかるのが(という言い方はよくないですが。向こうには騙そうという意図はないのです)、例えば 1700 ペソの買い物をして 2000 ペソ札を出したら、「200 ペソ持ってませんか?」と言われたりする場合。論理の飛躍についていけません。つまり相手が言いたいのは、300 ペソの細かいお釣りがなくて 500 ペソ硬貨ならあるので 2200 ペソ払ってほしいということなんです。

「お釣りを大きくするために半端な小銭を払うのは日本人だけ」とよく言われますが、それは正しくなく、コロンビアでは日常的に行われていることです。ただ、最初に小銭込みでお金を渡すのではなく、お札などを出したあとで「100 ペソありますよ」などと言って相手に心の準備をしてもらう必要があるみたいです。小銭はいらないと言われることもあります。

で、パン屋。いつも行く近所のパン屋ですが、ここで私がふだん買うバターロールみたいなパンは1個 200 ペソ。5個だと 1000 ペソです。私はたいてい、バターロール 10 個か、インテグラルという全粒パン(同じ形、同じ値段)5個とバターロール5個という買い方をします。

私が「これを5個とこれを5個」と言うと、そこのおじさんはいつも必ず、「1000 と 1000 ね」と言い直すのです。このとき「ペソ」というお金の単位は省略されています。スペイン語で書くなら、私が "Cinco y cinco". と言うと、彼は "Mil y mil". と言うのです。正しいんだけど気になる。もしも私が "Mil y mil". と言ったらちゃんと通じるのか、あるいは客が言ってしまった場合はパンが 1000 個と解釈されないか、つまらないことを考えてしまいます。もちろん店にはパンは 1000 個もありませんけども。